※※※我ら盗賊敏美隊※※※
1−1.町の中で .
「昨日また盗賊が出たんだってな」
市のまあまあ栄えた道の端で、壁にもたせかけながら缶コーヒーを飲んでいたキーアが
誰のかわからない家の前の階段に腰掛けているバラックに言った。
「ああ、そうらしい。昨日いやというほど話を聞かされたよ。」
バラックが苦い顔で言った。
「お前の親父は話したがりやだからな」
キーアがハハと笑う。
「いっそのこと隊長なんて首になっちゃえば良いのに。
どうせたいした成績なんて残してないんだしさ」
ブスッとした顔で言うと、キーアがまだ笑いを含んだ顔で言った。
「まあ、そう言うなよ。
親が隊長って位置にいるからこそ、お前もこうして十分くらしていけてるんだし」
「まぁ、そうなんだけど…」
「けど?」
「いや…なんか昔は結構家業を継ぐのがあたりまえって思ってたのに、
最近そうやって煩くされると、本当にこれで良いのかって思っちゃうんだよな」
「…お前がそんな感傷的なこと言うなんて思ってなかった」
キーアがわざとらしく驚いて言う。
「いや、お前に言われたくないし…ていうか俺、結構まじめな話をしてたんだけど?」
「わかってるって。でも酷いなぁ。俺だって、考えたりすることはあるんだぜ。」
「例えば?」
「んーそうだな。例えば、今日の晩飯とか?」
「ばんめ…それは明らかに“考える”の度合いが違うだろ」
バラックが苦笑する。
「これは俺にとっちゃ寝ることと同じくらい重要なことだ」
キーアがわざとくそまじめな顔をして言った。
「そーかよ」
ククと低い声が喉を通り過ぎる。
まじめに考えていた自分がバカみたいだ。
「ま、冗談はこれくらいにして、俺が悩んだ結果をお話しましょうか」
「晩飯を何にするか?」
「…冗談は終わりって言っただろ」
すねたようにそう言いながらも話を続ける。
「迷いがあるなら納得いくまで色んなことに挑戦し続けることだな。
そうすりゃいずれ答えが見つかるだろ」
手を差し出し、にっと笑う。
「俺の仕事を手伝ってくれよ」
どこか不安を秘めた笑みだった。
しかしバラックは自分が不安な気持ちだからそう見えるんだと、
あっさり納得してしまった。
バラックは立ち上がりざま、キーアの手を上から軽くたたいた。
「オーケー」
×
×
×
THE END 1−1.in the town
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